ドライバーの長さ
ドライバーの長さにもトレンドがあって、ミート率向上による飛距離アップを考える場合は、短尺のドライバーが流行ります。
一方、遠心力を使ってヘッドスピードを上げようとする場合には、シャフトの長い、いわゆる長尺ドライバーが流行します。
以前、「セイコーのS-yard(今はなき伝説のドライバー)」が大流行したときは、ヘッドの軽量化と相俟って、まさに長尺ブームに火がついたタイミングでした。
そして近年、ヘッドは大型化してきました。
20年前は300ccでも革新的と言われ、大型ヘッドだと騒がれたものですが、現在では460ccが主流になっています。
ヘッドが大型化していくとともに、シャフトも長尺化されると思われていますが、現実にはそれほど長いドライバーは使われていません。
多くのドライバーは45インチ台なのが現実です。
ドライバーのシャフトの標準的な長さ
ドラコンプロのように、本当に飛距離を追求する場合は、ルールギリギリの48インチのドライバーにするケースもありますが、プロゴルファーは実際に45.25インチくらいを使っています。
アベレージゴルファーでも45.75インチと、現実には0.5インチの間でシャフトの長さが決まっているのが、近年のドライバー事情です。
確かにシャフトを長くしても短かったときと同じように振り切れるのであれば、当然長いシャフトの方がヘッドスピードは上がります。
しかし、現実にはシャフトが長くなればミート率は下がります。
特にアマチュアの場合、1インチ長いドライバーで正しくコントロールするのは難しいので、確実にミート率は下がるでしょう。
つまり、シャフトを長くすればいいわけではなく、あくまでバランス。
ヘッドスピードとミート率が最もバランスするところが、その人にとって最適なシャフトの長さになるのです。
プロでも長尺ドライバーを使う
長いドライバーを短く握ると飛ぶ
最近では、プロの中にも長尺ドライバーを使う選手出てきています。
実際に長尺を思いっきり振り切るのではなく、クラブを短く使ってミート率を上げています。
女子プロゴルファーの田辺ひかりプロや菅沼菜々プロは短く握ることで有名です。
しかし、長いクラブは長く握ってこそ、ヘットスピード向上の最大効果を得られるはずです。
それを短く握ってしまえば、そのメリットを捨ててしまうのではないかとの疑問が湧きます。
実際、長尺ドライバーを短く握った場合の飛距離実験をしたデータがあります。
これはただ単に長さの違うドライバーを打ち比べたのでなく、目一杯握った場合や、指1本分短く握った場合など、長尺ドライバーを短く握った場合の飛距離を計測したものです。
この実験の結果は意外なもので、長いクラブを短く持っている場合が最もヘットスピードが上がるとの結果になりました。
ゴルファーによって、長いドライバーをゆっくり振ってヘットスピードを上げるか、短いものもシャープに振り抜くかなど、タイプは違うと思いますが、長尺ドライバーを使うのであれば、やや短く握るのがポイントになりそうです。
プロゴルファーのドライバーの長さ一覧表
長さ | ゴルファー名 |
47 | 片山晋呉 |
46.5 | 谷原秀人 |
46.25 | 宮里聖志 |
46 | 石川遼 尾崎将司 |
45.75 | ダスティン・ジョンソン 近藤共弘 |
45.5 | ヘンリック・ステンソン フィル・ミケルソン |
45.25 | ローリー・マキロイ 藤田寛之 池田勇太 小田孔明 岩田寛 |
45 | ジョーダン・スピース 藤本佳則 宮里優作 上井邦裕 高山忠洋 谷口徹 深堀圭一郎 星野英正 今野康晴 |
44.75 | 松山英樹 手嶋多一 横尾要 久保谷健一 |
44.5 | タイガー・ウッズ ババ・ワトソン 宮本勝昌 矢野東 武藤俊憲 小田龍一 細川和彦 |
44.25 | ジャスティン・トーマス 小平智 |
短尺ドライバーの選択肢
2017年、全米プロを制したジミー・ウォーカーが42.5インチのドライバーを使って話題になりました。
また、飛ばし屋として知られているリッキー・ファウラーも43.5インチのドライバーを使用して活躍しました。
45.25インチを使用するプロが多い中、短尺ドライバーを使うプロも少なからずいるのです。
もちろん、短い分、飛距離は落ちますが、曲がりは確実に少なくなるので、安定性は向上します。
フェアウェイキープ率が上がれば、2打目以降が楽になり、パーオン率は上がるでしょう。
「飛ぶけど曲がるからスコアにならない」との選択をするのか。
それとも「飛距離は抑え気味にしても確実性を重視する」のか。
プロでも短尺ドライバーを使っている事実をみたとき、アマチュアゴルファーが選択すべきはどちらなのでしょうか。
スイングに合わせてドライバーの長さを選ぶ
スイングの特徴や目指すべきゴルフのスタイルも使うドライバーを決める要素になります。
長いクラブを短く握り振りやすさが増して、それがヘットスピードの向上につながる場合もあります。
短く握れば、クラブのバランスが軽くなり、自然と早く振れるようになるケースもあるでしょう。
また、短く握れば必然的にグリップの細い部分を持つので、ヘッドが自然に返しやすくなりヘッドスピードが増したとも考えられます。
もし飛距離を伸ばしたいのであれば、やや長めのクラブを短く握り、ヘッドの加速を感じながら、 シャープにスイングするといいでしょう。
また、短尺ドライバーを使って、確実にスコアメイクしていくやり方もあります。
飛距離を追求するのか。
それとも、スコアに注力するのか。
このあたりがドライバーの長さを決める上でのポイントになるのかもしれません。