ドライバーの打ち方がわからない
ドライバーの魅力と落とし穴
ゴルフを始める際、ハマるクラブがドライバーです。
飛んだときの爽快感が癖になり、「ゴルフをやっている感覚」にしてくれるのです。
しかし、最初にぶつかる壁もドライバーで、コースではチョロやOBを連発し、徐々に「当たる気がしない」「真っ直ぐ飛ばせる自信がない」と怖くなっていき、次第に「打ち方が分からない」「怖くてドライバーが持てない」とイップス気味になっていってしまう人もいるのです。
魅力的であり、難しいクラブがドライバーなのです。
最も長く難しいものの、間違った動きを修正していけば、必ず会心のショットが打てるので、そのための基礎を学んでください。
ドライバーで安定的に飛距離が出せれば、ゴルフは格段に楽しくなります。
ドライバーにはヘッドスピードが必須
ドライバーの飛距離アップに必須なのは「ヘッドスピード」です。
ヘッドスピードが遅ければ、飛距離は伸びません。
一般的に「ヘッドスピード×5.5」が飛距離と言われています。
ヘッドスピードが50m/sの人は飛距離の目安が275ヤードになり、ヘッドスピードが40m/sの人は飛距離の目安が220ヤードになります。
ヘッドスピードと距離には強い相関があるのです。
飛ばすにはボール初速を上げる
次に大事な視点は、ボール初速の向上です。
ボール初速とヘッドスピードは比例するので、飛距離には、まずヘッドスピードとボール初速のアップが重要になるのです。




ドライバーの打ち方の基本
自分に合ったドライバーのシャフトを選ぶ
ドライバーヘッドの反発係数にはルール上の規制があるので、素材や形状による飛距離アップには限界があります。
ヘッドの機能に頼れない中で、飛距離を伸ばすためになにができるでしょうか。
できるのは、スイングの基礎を見直すこと。
言い換えれば、自分の振る能力を客観的に再検証し、効率のいいスイングを手に入れることです。
しかし、これは「スイング改造」を意味しません。
それ以前に、スイングに合ったシャフトを手に入れる方が早いのです。
アマチュアゴルファーは、自分のスイングとシャフトの関係を軽視する傾向にあるので、まずはシャフトのフィッテングをしましょう。
シャフトメーカーの専門施設に行けば、無料で測定してもらえるので、そこで得られた結果を元に自分のスイングに合ったシャフトを装着するだけです。
自分に合ったシャフトでのスイングで、より効果的に飛距離アップができるようになります。
まずは飛ばす大前提として、シャフトを見直しましょう。
ドライバーシャフトの適正化で、驚くほどゴルフが簡単になります。
ドライバーは体のねじりを上手に使う
ヘッドスピードアップのためには、上手な体のねじりが欠かせません。
ねじりとは、上半身と下半身の捻転差です。
ゴムをねじればねじるほど、元に戻る勢いが出ますが、同じ原理です。
ねじって戻る動きを効率よくするには、腰が一緒についていってはいけません。
アドレスの姿勢から、トップまでの体の動きの大きさには差があります。
一番動いているのは肩で、おそらく90度近く捻転されています。
そのとき、腰は45度くらいでしょうか。
さらに時差が加味されます。
すべてが同時に動いてしまったのでは、捻転差は生まれません。
順番に動いていき、順番に戻ってきて、最後はそれが一緒になる。
タイミングよく、揃ってインパクトを迎えられるのが理想です。
これさえできれば、どんなに体がかたい人でも、年齢を重ねていても、つま先と肩のラインのねじれが大きくして、ヘッドスピードを上げられます。



肩と腰の回転を意識する
バックスイングであごの下に左肩を入れる
肩の回転が大きくなるほど、クラブの助走距離は長くなります。
最大90度で、目標に対して背中を向ける状態になります。
この状態を目指すには、バックスイングであごの下に左肩を入れる意識がポイントになります。
ダウンスイングでは、逆に右肩があごの下に戻ってくるよう意識すれば、インパクト後のフォロースルーがきれいに描けるはずです。
この意識により、始動からフィニッシュまで、マックスの肩の回転を手にできます。
肩の回転を最大限に利用して振り抜ければ、ヘッドスピードはアップします。
腰の回転を意識する
腰の回転も必要です。
バックスイングを上げられても、腰の回転の抑制が苦しくて脱力してしまう人は少なくありません。
タメておけずに、早めに捻転がほどけてしまい、手だけが先に下りてきてしまうパターンです。
これでは、ヘッドは加速しません。
実にもったいない状態です。
つま先から、ヒザ、腰、肩と徐々に捻転が大きくなり、ねじりの角度の時差は、ほどけるときにパワーが一気に爆発するのに、これが失われてしまうのです。
こんなもったいない状態の解消が「ヒップターン」です。
伝統的な日本の玩具に「でんでん太鼓」があります。
太鼓についた棒をくるくる回すと、太鼓からぶら下がった紐の先についた玉が太鼓の腹を叩き、音が出る、あの紐の動きのイメージです。
体幹がでんでん太鼓の棒部分であり、紐を腕に例えれば分かりやすいでしょうか。
その先についている玉がクラブヘッドです。
早く回すほど、棒部分との時差が生まれ、スピードがアップするイメージです。
理想は、腰がアドレスの姿勢に戻ったときに、クラブと腕もそろって下りてくるインパクトです。
フォローでそのまま回転し、フィニッシュではへそが目標を向きます。
スイングアークを大きくする打ち方
ドラコン専門のプロたちのスイングをご存知でしょうか。
彼らは飛距離だけを追求し、飛ばす能力の競争を専門としています。
アドレスでのボールポジションは体より左側(飛球線方向)。
構えたら右に思い切り体重を乗せるようにバックスイングして、一本足打法のような状態で左にステップしながらダウンスイングして、球を思い切り飛ばしています。
まさに、飛ばすためのスイングです。
彼らは、なぜボールをそんなに外側に置いて、極端な体重移動をしているのでしょうか。
それは、スイングアークを大きくしたいからに他なりません。
スイングアークを大きくすると、ヘッドスピードが上がるのです。
自分のスイングでできるだけ弧を大きくしたいなら、手先ではなく全身で大きくすることを考えましよう。
ドライバーのヘッド1個分でもいいから大きくするのです。
そのためには、まず思い切り腕を伸ばすこと。
さらに、ドラコン王たちのようなウェイトシフトが加われば、もっとスイングアークは大きくなります。
スイングアークを大きくすることで、回転軸のスピードにプラスしてヘッドスピードを上げられるわけです。
ただし、ドラコン王のように体重移動をした場合、その分アドレスの位置に戻ってインパクトを迎える確率は低くなります。
正確性は確実に落ちるので、リスクと表裏一体だと認識しておいてください。
腕の振りで飛距離を出す
腕の振りも大切ですが、「手打ち」と混同しないでください。
腕やクラブヘッドは、肩よりはるかに遠いところまで行って、ボールがクラブから離れる瞬間(インパクト)では、肩を追い越して、またはるか遠くまで行ってフィニッシュを迎えます。
つまり、回転において、肩を含めた体の左サイドを腕やクラブヘッドが追い抜いていく瞬間がインパクトになるのが理想です。
だから、腕を早く振らないで、そのままスイングすると、ほとんどの人は振り遅れてしまいます。
「手打ち」との違いは、体はしつかり捻転している点です。
体がほどけて来る順番からいえば、ヒザと腰が先に戻るのは当たり前ですが、それ以上に腕を早く振って戻って来ないと振り遅れてしまいます。
つまり、腕を振るほど、ヘッドスピードを上げられるのです。
ヘッドスピードを上げる打ち方
体の回転を上げる方法としてフットワークの使用も考えられます。
なぜ、飛ばしに足腰の強さが必要なのかと言えば、飛ばすためには右脚の蹴りが必須になるからです。
具体的に言うと、ダウンスイングのクラブが地面と平行になる位置から、一気に右腰から脚にかけての部分を押し込んでいく動きが大切なのです。
よく「腰を切れ」との言い方で、腰の回転の大切さを説かれますが、腰が回転するためには、まず左脚から腰を右後方に引っ張る動きをし、トップスイングからは逆に左後方に回していく。
このとき、右からも押し込む動きがほしいのです。
これが理想的なフットワークです。
ただし、右脚の蹴りだけが早いとスライスするので注意が必要です。
トップからダウンスイングに入り、左側が回り始めた時点で、必ず腕も一緒に加速してこないといけません。
そして、最後にフットワークを使って右脚を押し込むことで思い切り振れるのです。
最後は右太ももが左太ももに向かってぶつかるくらいに加速してください。
これで、ヘッドスピードを上げられます。
フットワークを使うには、しっかりした下半身が必要です。
日頃から、疲れない下半身を作っておきます。
ラウンドの後半になると、ダフりやテンプラが多くなり、スイングが乱れるのは、下半身が弱い証拠です。
通勤時、ひとつ前の駅で降りて歩くと下半身強化になります。
タメをつくるドライバーの打ち方
トップで左手親指付け根側にグリップ(クラブの重み)を乗せる動きも必要です。
これが大きければ大きいほど、タメが深くなります。
ここから切り返してして、インパクトで自然にタメがほどけるのが理想の動きです。
タメは自分でつくる動き出しであり、自然にほどけるものです。
決して無理にほどいてはいけません。
もし、ほどけないとすれば、それはインパクトのとき、いわゆる左側のカベができていないからです。
カベさえできていれば、自然にそこでほどけると思います。
腕を振るとき、インパクトの前にクラブヘッドが地面に落ちてしまう人(極端にダフる人)や、超スライスになってしまう人は、無理にワッグル(タメ)をほどいているかもしれません。
フライパンを返すような動きを無理にしなくても、左側のカベを意識することで、自然にタメはほどけてきます。
これができれば、もっと腕を振れ、ヘッドスピードを上げられます。



ドライバーショットと左サイドの壁
カベとは、バックスイングでバラバラにした各部分が、一気に揃った状態です。
目標に対して90度(アドレスの位置)で一度きれいに揃ってインパクトを迎える。
そこでタメたパワーを爆発させるわけです。
「スイングの中にインパクトがある」との言葉がよく使われますが、飛ばしを目指すのであれば、ヘッドスピードが最大に達したときにインパクトがくると意識する必要があります。
時差があった体がすべてそろってインパクトを迎える。
こうして最高のタイミングで爆発させれば、ヘッドスピードをアップできるのです。
ドライバーのグリップは細い方が打ちやすい
飛ばしだけを考えたら、グリップは細めを選びます。
細いグリップの方がフェースの返しがしやすく、スナップが効きやすいのです。
その分、インパクトで打ち負けてしまうとブレやすいので安定度は低くなります。
グリップを握る強さ(グリッププレッシャー)も同様です。
脱力して緩めに握った方が、フェースの返しが効きやすく、飛距離は出しやすいと言われています。
逆に曲げたくない人は強めに握ります。
飛ばしたいなら細めグリップでゆるゆる握りがオススメです。



ドライバーはフルスピードで振り抜く
最後に大切なのはインパクトです。
これが飛ばしのクライマックスです。
インパクトでパワーを最大限に爆発させることを意識してスイングをつくります。
だらしないフィニッシュでクラブを振っている人を見かけますが、これはイマイチです。
インパクトをマックスのヘッドスピードで迎えると考えれば、減速しながらフォロースルーには入らないはずです。
もちろん、スイングの勢いは衰え、スイングスピードが落ちてフィニッシュを迎えますが、イメージは加速して最大のヘッドスピードでインパクトを迎えたら、それをキープしたままフィニッシュまで振り抜く。
もっと極端に言えば、インパクトで激突した左のカベをさらに突き抜けてフィニッシュまでマックスのスピードで突っ走るイメージです。
その意識でクラブを振れれば、確実にヘッドスピードを上げ、力強いスイングができるようになります。