理想の弾道(自分の持ち球)を決める
ドライバーの飛距離を伸ばすには、必要な弾道があります。
上級者の中には風の影響を受けにくいライナー性の弾道を追及する人もいますが、一般のアマチュアゴルファーは、いわゆる「ビッグボール」と呼ばれる「高さ」と「キャリー」が出る球が不可欠になります。
プロとアマのドライバーショットでの最高到達点は約20ヤードの差があると言われています。
プロは高い打ち出し角でボールが放たれ、滞空時間の長い球を打っているのです。
つまり、この高さの違いが飛距離の差になってくるのです。
このように最大飛距離を得るためには大きな放物線を描く弾道が理想ですが、多くのアマチュアゴルファーは8.5度などの少ないロフトを使ったり、硬いシャフトによって、本来の高さが出せず、飛距離をロスしているケースが非常に多いのです。
アベレージゴルファーであれば、ロフトは9.5度~10.5度を使い、打ち出し角を高くするべきでしょう。
具体的に、ドライバーの打ち出し角は15度前後がいいでしょう。
ドライバースペックは、ヘッドスピードやスイングタイプなどの特性に合わせる必要がありますが、いずれにしても、選ぶべきドライバーによって飛距離は大きく違ってくるのです。
高い打ち出し角が実現できるスペックを選んでください。
昔のドライバーの弾道
具体的に飛距離を伸ばすにはどうすればよいのでしょうか。
ゴルフでは「力を抜いたほうが飛ぶ」と言われています。
これは間違いではありませんが、多くのアマチュアゴルファーは力の抜きどころを知らず、不必要に力を緩めてしまい、逆に飛距離を落としています。
「力を抜く」の意味は、ドライバーが重く振りづらかった時代と現代の軽く優しいドライバーの時代では、ちょっと違います。
昔はへッドとシャフトがとても重く、ある程度腕力でドライバーを振らないとへッドスピードが出ませんでした。
しかし、全身がガチガチに力むと、筋肉が硬直し体がスムーズに動かなくなってしまい、かえってヘッドスピードが落ちてしまったのです。
そのため、弾道が低くなり、飛ばなくなってしまった。
つまり、重いドライバーを使っていた時代の「力を抜く」は「力を入れ過ぎて筋肉を硬直させすぎない」といった意味で使われていたのです。
最新のドライバーの弾道
へッドスピードの重要性
現代の「力を抜く」には別の意味があります。
昔はスピン量やボール初速を測る計測器がなく、飛ばしに関連する数値と言えば、へッドスピードぐらいでした。
そのため、自ずとヘッドスピードが飛距離アップについての唯一の指標になりました。
そのヘッドスピードの低下を生み出す「力み」は悪だったわけです。
ところが現代では、へッドスピードの重要性は昔に比べて下がっています。
もちろん、あるに越したことはないのですが、計測機器の進化に伴い、より効率よく飛距離アップにつながるスイングが発見されたのです。
具体的には「打ち出し角」に加え、「ボール初速」と「スピン量」が重要になります。
この「飛びの3要素」を最適化させるための秘訣が、力を抜くことだったのです。
ドライバーの進化
現代の「力を抜く」の背景には、ドライバーの進化もあります。
最新ドライバーは、軽量化によりへッドスピードを出しやすくなったこと。
そして、簡単にボールが上がり、「ビッグボール」が打ちやすくなった点が大きく影響しています。
パーシモンのドライバーは、バリエーションが少なく、メーカー間でも性能差はほとんどありませんでした。
ヘッドの大きさが160cc程度と非常に小さく、重心も高い位置にありました。
重心位置が高いと重心より低い位置でボールをとらえやすくなり、スピン量が必要以上に増えてしまい飛距離を大幅にロスしてしまいます。
このようなドライバーでの飛距離アップは容易ではありません。
プロでさえ苦労したので、アマチュアゴルファーではなおさらです。
このドライバーで飛距離アップを求めると物理的なパワーを上げる方法がいちばん効果的で、ヘッドスピードが重要視されたのです。
高弾道のドライバー
一方、最新のドライバーは、低重心が当たり前で、スピン量が軽減でき、強い球が打ちやすくなっています。
弾道は高く、ドーーーンというイメージで飛んでいく、強い球が誰でも打てます。
さらに重心の浅いドライバーや深いドライバーなど、様々なメーカーから多くのバリエーションが販売されています。
そして、ヘッドのサイズは460ccと昔に比べ3倍近くまで大きくなったことで、多少ミスしても飛距離ロスは減りました。
このような高性能ドライバーであれば、もう力は必要ないのです。
最新ドライバーは振ってはいけない
最新ドライバーは軽い
「今のドライバーはミスに強いので、ある程度のミスを許容してへッドスピードを上げた方がより飛ぶのではないか?」との考えもあるかもしれません。
実はここがポイントなのです。
パーシモンのドライバーは、シャフトもスチールで総重量は380g程度と、現代ではプロゴルファーでも使えないぐらいの重さでした。
ユーティリティくらいの重量だと言えばわかりやすいでしょうか。
つまり、今の基準で見ればものすごくハードなドライバーを使っていたわけです。
例えるなら女性が、飛ばし屋男性のドライバーを使用するようなもの。
こうなると頑張って振るしかありません。
そんな状態では、クラフの性能よりもパワーが大切になってきます。
ドライバーの理想の打ち出し角を実現する
最新のドライバーは、ヘッドの重心位置、重さ、長さ、シャフトの硬さなど、バリエーションが豊富で自分の力量に合わせてスぺックを細かく選べるようになっています。
多くの方は、試打をして自分の振りやすいスペックを選んで購入したはずです。
このように自分仕様のドライバーを作れるのは、メリットが大きいですが、逆にマイナスもあります。
細分化されたスペックは、性能を発揮できるゾーンがかなり絞られてしまうのです。
つまり、数値が合わないとドライバーの性能が発揮されないのです。
最新のドライバーは、いつも以上に頑張って力んで振っても無意味です。
それどころか、打点がずれてスピン量が増えてしまったりと、まったく距離が出なくなる逆効果になります。
最新ドライバーは、スペック通りのスピン量や打ち出し角を再現しないと、効率よく飛距離が伸びません。
最新のドライバーで飛距離を伸ばすには、頑張ってヘッドスピードを上げるより、ボール初速、打ち出し角、スピン量を最適にした方が飛距離につながるのです。
最近は、自身のスイングを数値で「見える化」できる機器も普及しているので、まずはボール初速、打ち出し角、スピン量などを計測し、最適な数値が出せるスイングに修正してみるといいでしょう。