インパク卜ですべての力をぶつける
史上最高の女子プロゴルファーの一人は、間違いなくアニカ・ソレンスタムでしょう。
彼女は完成度が高く、美しいスイングとして有名ですが、まったく力感がありません。
精密機器のようにシンプルに動くスイングです。
本人は「6割の力で振っている」と発言したことがあるくらいなので、極力、力を抜いているのだと思います。
また、ジャック・ニクラウスと並ぶ男子最高のゴルファーであるタイガー・ウッズは、以前「8割」で振っていると答えています。
このようにプロの多くは7~8割の力加減でスイングしていると説明することが多いようです。
プロはスイングスピードが早いので、最大の力で振っているように見えますが、決してそんなことはないです。
現実的に計算すれば、最大50メートル毎秒で振れるブロが8割の力で振るということは、40メートル毎秒で振っていることになります。
しかし、そのヘッドスピードで納得のいく飛距離になるはずはありませんから、実際のヘッドスピードはもっと早いと思います。
ただ、イメージとしてはそのくらいの力加減で振っているのでしょう。
決して100%の力を使い切るのではなく、力まない状態で効率よく振ることにより、筋肉や関節をしなやかに連動させて使うことができ、スイングスピードは最大限まで高められるというのが、プロのドライバースイングの真実なのです。
プロが本気で振るとき
では、ブロが100%の力を使うことは試合ではありえないのでしょうか。
実は、プロでも本気で振るときがあります。
試合展開により、どうしてもバーディーが必要なときやアグレッシブに攻める意識を持つことで集中力を高めたり、流れを引き寄せようとするときには、8割のスイングを心掛けるプロでもマン振りを選択肢に入れることがあります。
スイングのメカニズムに反することがない、セオリー通りの打ち方ならば、いつも以上に力を入れる、いわゆる「マン振り」をすることで、ヘッドスピードを上げることができます。
しかし、それが実際に飛距離の伸びにつながるかというと、必ずしもそうとは限りません。
特にアマチュアの場合は、力むことで失敗する可能性の方が格段に高いでしょう。
スピンが増えて飛距離をロスすることもありえますし、そもそも必要以上に力んでしまえば、スィング軌道が乱れる危険がありますので、持ち球ではない曲がりをする可能性もあります。
プロは、それを承知の上で、フルスイングを選ぶのです。
自分のスイングに絶対の自信があるからできることなので、アマチュアが真似するのは危険です。
フルスイングのときの筋肉の使い方
ただし、ブロがマン振りをするときに、力を入れるのは腕以外の筋肉だということを忘れないでください。
プロは、腕の筋肉に力を入れても、いい結果にならないことをよく知っています。
そのため、身体の捻転を大きくするなど、大きな筋肉を使って飛ばすことを考えます。
しかし、アマチュアは、早く振ろうとして、腕に力を入れてしまうのです。
腕のような小さな筋肉を使おうとすれば、スイングが乱れやすくなるのです。
アマチュアは「腕の筋肉を使わない」というプロの考え方を取り入れなければなりません。
その代わりに使うのは、体幹の筋肉、下半身の筋肉です。そして、捻転を大きくするのです。
いつもより少しスタンスを開き、足の指でしっかり地面を踏みしめて立ち、地面からの力をムダなく受け取ります。
そして、腹筋と背筋をいつもより速く使って体幹を回し、捻転差を作ります。
体幹をいつもより速く回せば、肩や腕の動きのスピードが上がります。
あとは、腕の筋肉と閨節のしなやかさをキープすることで、クラブの動きにブレーキをかけなければいいのです。
小手先に頼らない、体幹を使ったスイングができれば、緊張する場面でも飛距離を伸ばすことができるのです。
【軽く振っても飛ぶドライバー】