アイアンはダウンブローで打つ
プロの打ち方
松山英樹選手など、PGAツアーを戦うトッププロは、200ヤード前後の距離を9番アイアンで打ちます。
テレビを見ていて「さすがに届かないのでは・・・」と懐疑的になりますが、なんと十分届いてしまうのですから、本当に驚きです。
逆に短い距離を打つ番手がなくなってしまうのではないかと心配になるくらいです。
私は9番アイアンで130~135ヤードですから、7番手くらいの違いがあるのです。
もう異次元です。
トッププロのパワーには脱帽ですが、実際はパワーだけで飛距離を出しているわけではありません。
プロとアマチュアの根本的な打ち方の違いが、飛距離に表れているのです。
プロとアマの違いは「ダウンブロー」にある
プロの飛距離の秘訣のひとつは「ダウンブロー」にあります。
ダウンブローで打つと、バックスピンがかかり、ボールが止まりやすくなる上に、飛距離まで伸びます。
ダウンブローのスイング軌道は、ロフト角が立ち、ボールが高く上がるようになります。
アイアンであれば、ロフト角が立つことによって、1~2番手上のクラブと同等のロフト角となるので、飛距離が上がります。
また、バックスピンがかかることによって、揚力が増し、より高い打球となることで、さらに飛距離がアップするのです。
PGAツアーのトッププロの飛距離は、ダウンブローの打ち方によって生み出されているのです。
ダウンブローで打つ
ダウンブローは上級者の打ち方
上級者の証であるダウンブロー。
これはアマチュアの憧れでもあります。
上から打ち込むことにより、ターフが取れるようになります。
ダフりとは違う、きれいなターフは快感です。
また、ターフは、いいスイングの証明にもなるので、ラウンド中に自信が持てるようになるでしょう。
ダウンブローのメカニズム
クラブヘッドがまだ下降を続けている途中でボールをとらえ、ボールの先がスイングの最下点になるように振る。
その結果、ヘッドが上から下に向かってボールに当たる。
ロフトがオリジナルな状態よりも立ってボールに当たり、ボールの先の芝を削り取って、華麗に夕ーフを飛ばす。
これがダウンブローのメカニズムです。
ダウンブローは芯が衝突する
ボールの重心よりもアイアンヘッドの重心は高いため、通常は芯と芯が衝突し合ったインパクトにはなり得ません。
しかし、ダウンブローなら、ヘッドがボールの下に滑り込んでいくため、芯と芯が衝突が実現します。
ロフトが立つことと、芯で打つことでエネルギー効率がよくなるため、ダウンブローのショッ卜は飛距離が出るのです。
さらに、ダウンブローに打てばスピンが強くかかるため、グリーンでボールはよく止まります。
「グリーン上のバックスピンでベタピン」もダウンブローだからできることなのです。
ダウンブローのチェックポイント
自分はダウンブローに打てているのかがよくわからないとの声も多いようです。
中にはダウンブローを意識しすぎて、鋭角にヘッドを入れてしまう人もいるようなので、正しいダウンブローのチェックポイントを知っておきましょう。
ボールの先の芝が削れる
ボール真下の芝が削れるのはダウンブローではありませんし、まして手前の芝が削れているのは単なる「ダフリ」です。
しっかりとボールの先の芝が長方形に削れるようにしましょう。
ボールにバックスピンがかかりグリーンで止まる
ダウンブローに打てた球は適度なバックスピンがかかるので、グリーン上で止まります。
中にはプロのようにバックスピンがかかる場合もあるかもしれません。
グリーンに乗っても、転がってエッジまで出てしまうような球はダウンブローに打てていない証左です。
ライが悪くてもボールを上げられる
多少のラフやライの悪い場所であってもダウンブローに打っていれば、適度なスピンがかかるため、自然と球は上がります。
特にベアグランドのようなライはダウンブローかどうかをチェックするには最適です。
ここでクリーンに打てれば、ダウンブローに打てていると言えるでしょう。
ダウンブローはやさしい打ち方
ボールの赤道下を打つ
ダウンブローの場合、リーデイングエッジを入れていくのは、ボールの赤道の下ならどこでもいいくらいです。
「ボールと芝の少しのすき間」のような狭い点でなく、許容幅が広くなるので、気持ちの上でも余裕ができるので、いいスイングがしやすくなります。
そんなアバウトな狙いでも、ボールの赤道より下にヘッドが入れば、そのまま球を持ち上げてくれるので、結果は悪くなりません。
ただし、気をつけたいのは、意図的に「上から下へ当てにいく」のではない点です。
プロもあくまでもスイングのメカニズムにのっとった自然な動きをしながら、ただ、スイングの最下点の少し手前でボールに当てているだけなのです。
ダウンブローに打てない理由
なぜ多くのアマチュアゴルファーはダウンブローに打てないのか。
アイアンは地面からボールを打つクラブなので、ティーアップするドライバーとは決定的に違います。
地面から打つアイアンは、先にクラブヘッドが地面に当たらないように、つまりダフらないように直接ボールにヘッドをクリーン当てる必要があります。
しかし、ここで問題が発生します。
ボールにヘッドを直接当てようとする動きが、「ダフりたくない」という気持ちになり、ボールをすくい上げる動きになる。
つまり「すくい打ち」を誘発してしまうのです。
すくい打ちは、ヘッドを下から上に使う動きなので、右体重になります。
いわゆる「明治の大砲」です。
さらに、すくい上げようとしても地面があるので、ヘッドを入れるスペースがありません。
つまり、トップのミスが出るようになるのです。
多くのゴルファーは、ダウンブローと真逆の軌道でアイアンを打とうとしているのです。
セオリーと真逆の動きなので、ミスショットを繰り返すのは必然でしょう。
ダウンブローに打つためのポイント
ダウンブロー軌道でアイアンを打つためのポイントは案外シンプルです。
ダウンブローの構え
アイアンをダウンブローで打つ際は、ヘッドを上から下に動かす必要があるので、そのための構えをしなければいけません。
ボールを横からアッパー気味に捉えるドライバーショットとは違う姿勢になることは感覚的に理解できると思いますが、このダウンブロー用の構え方こそが重要なポイントなのです。
ダウンブロー用の構えのスタンスは、ドライバーよりも狭く、ボールの位置は、スタンスの真ん中ぐらいで、上から打ち込める状態をつくります。
その上で、ボールをヒットしやすいように、ボール位置よりグリップの位置が飛球線方向にある「ハンドファースト」の構えをします。
このハンドファーストを崩さないようにスイングすると、ダウンブローにインパクトできるのです。
スイング中に手首の角度をキープする
ダウンブロー用の構えの次は「トップで作った手首の角度の維持」を意識しましょう。
スイング中に手首の角度が変化するようであれば、ダウンブロー用の構えも台無しになります。
ハンドファーストにインパクトを迎えるためにも、手首の角度を維持してください。
トップで作った手首の角度をキープしたままダウンスイングすると、ヘッドが上から降りるので、ハンドファーストをキープしたインパクトになり、ダウンブローに打ちやすいのです。
多くのアマチュアゴルファーは、トップの位置から手首の角度を保ったままインパクトを迎えられていません。
その結果、コックのリリースが早くなる「アーリーリリース」となり、ダウンブローにボールを打てなくなるのです。
