試打会でドライバーの重さに騙される
自分に合ったドライバー重量
よく練習場などで試打会が開催されています。
テーラーメイド、ダンロップ、キャロウェイ、ブリヂストン、タイトリストなど、有名メーカーが一堂に会する試打会は、規模の大きい練習場で定期的に開催されているようです。
その場にはクラフトマンもいて、特注のクラブに仕上げてくれ、すぐに買える場合もあります。
ヘッドやシャフトを希望通りに組み合わせられるだけでなく、重量も300g、305g、310g、315g、320g、325g、330gなど、細かくカスタマイズしてくれます。
もちろん、バランス調整も完璧なので、自分に合った振りやすいドライバーが完成するでしょう。
一番売れるのは軽いドライバー
試打会で一番売れるのは、総重量やヘッド重量の軽いドライバーです。
いきなり素振りをする。
軽いドライバーだと、とにかく振りやすく感じます。
また、実際にヘッドスピードは上がるので、ボール初速も出ている手応えがあって飛距離も出ます。
新鮮さもあり「振りやすい」「ヘッドスピードが上がった」「飛ぶ!」と一気に買いたくなってしまうわけです。
試打会の目的は「売上げアップ」ですから、とくかく短時間でいい印象を与えなければいけません。
軽いドライバーなら、結果に満足し、気分をよくして、購入してくれやすくなるのです。

ドライバーに必要な要素
ところが、この「スピードアップ効果」は疑問符がつきます。
まず、芯で打てればヘッドスピードアップは初速の増大につながりますが、芯に当たらなかった場合、軽いヘッドのドライバーでは初速のロスが大きくなってしまうため、結果的に距離は落ちてしまいます。
しかも、この「スピードアップ効果」は長続きしないという問題があります。
軽いクラブは、全身を使わず軽く扱えてしまいます。
つまり、手だけで持ち上げ、手の力で振ってしまうのです。
その方が速く振っている感触が得られますが、実際にスピードは出ないので、当然ですが、飛距離も出ません。
また、クラブが軽いとトップでのカラダの回転が浅くなり、スイング軌道はカットになりやすくなるため、基本的にはスライスの動きになります。
それを直そうと、今度は手で捕まえようとすれば、ダッグフックも出るようになるので、もう何が悪いのかわからなくなってきて、軽いスランプに陥ってしまうのです。
そして「買ったときにはあんなに手応えがよかったのに」と後悔するのです。

振れる範囲で最も重いドライバーを選ぶ
ドライバー選びについて、専門家は「振れる範囲でなるべく総重量の重たいクラブを選ぶべき」との意見で共通しています。
ヘッドスピードが速いほどボールに与えるエネルギーは大きくなります。
同じヘッドスピードで軽いクラブと重いクラブをインパクトした場合、衝突力が大きくなる重いクラブの方がエネルギーは大きくなるので、飛距離は出やすくなるのです。
また、重ければ、手を使わず、全身を使ってスイングがでるので、感覚的には速く振れた手応えがなくても、測ってみればヘッドスピードは出ています。
そして、ヘッドが重いので、当たり負けせず、初速が出ます。
芯に当たらなかった場合のロスが小さいため、平均飛距離は必ず上がるのです。
さらに、手を使わなくなるので、どんなときも一定のスイングができるようになります。
プレッシャーのかかったティーショットでも、いつもと同じスイングがしやすくなるので、大きく曲がる可能性が減ります。
重いドライバーの弊害
重いドライバーの方が、効率良く飛ばせ、最大の飛距離が得られるかといえばそうではありません。
大切なのは重いことでなく、あくまで「自分が振れる範囲でできるだけ重量があること」です。
この点を間違えないでください。
自分のパワーよりも重いドライバーを使うと、結局は振れなくなってしまうので、今度はヘッドスピードが下がってしまい、衝突力が落ちます。
結果、飛距離をロスするのです。
そして、スイングのバランスを崩すので、ダフリのミスなどが起きやすくなる弊害も生まれます。
ラウンド上がり3ホールでティショットが突然曲がりだしたり、ダフったりする人は、力量以上のスペックを使っている可能性があります。
普段は大丈夫でも疲れたときにドライバーの重さを支えられなくなっているかもしれません。
軽すぎるドライバーの弊害
軽すぎるドライバーもまた問題があります。
軽いドライバーなら振れる気がするでしょう。
そして、ヘッドスピードが上がるので、それが飛距離に反映されると考えがちですが、これが間違いの元になるのです。
軽いドライバーは簡単に振れてしまうので、無意識にスイングが緩んできます。
手だけのスイングになったり、当てにいくスイングになる傾向があります。
それがそのままクセとなって身についてしまい、本来のポテンシャルを削ってしまうのです。
本当はもっと飛ばせるはずなのに、知らぬ間に自分の能力を劣化させてしまっているのです。
さらに、軽すぎるとドライバーが余計な動きをしやすくなるので、ミート率が下がります。
その結果、いつの間にか飛ばなくなってくるのです。

ドライバーの最適な重量
年齢別のドライバーの選び方
「振れる範囲でできるだけ重い」とは、ベッドスピードを測りながら試せばわかります。
ある重さ以上になると、ヘッドスピードにバラツキが出てきますし、何より、重いと感じるはずです。
その場合には、ラウンド後半でドライバーが振れなくなってしまう可能性が高いと言えるでしょう。
その一歩手前の重さが最適な重量と言えます。
クラブ重量は「軽い」と言われているクラブで270グラム程度で、「重め」と言われているクラブで330グラム程度です。
男子プロでも320グラム、女子プロなら300グラム前後、シニアのアマチュアは290グラム程度が多いと思います。
あくまで一般論ですが、ドライバーの適性重量は以下の通りです(目安は45インチ)。
年齢 | 重量 |
39歳以下 | 310g±10g |
40~49歳 | 305g±10g |
50~59歳 | 300g±10g |
60歳以上 | 290g±10g |
つまり、たった20~30グラムの違いで大きな差が出るので、重量がシビアであると理解できるでしょう。
ヘッドスピード別のドライバーの選び方
ヘッドスピード38m/s以下 ■女性ゴルファー ■シニアなどの男性ゴルファー |
ヘッドスピード39~43m/s ■男性アベレージゴルファー ■女性ゴルファーの上級者 |
ヘッドスピード44~47m/s ■力のある男性アベレージゴルファー ■シングルレベルの男性上級者 |
ヘッドスピード48m/s~ ■男性ハードヒッター ■プロレベルの男性上級者 |
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総重量 | 275g~299g | 総重量 | 300g~310g | 総重量 | 311g~324g | 総重量 | 325g~ |
シャフト | 重量40g台 | シャフト | 重量50g台 | シャフト | 重量60g台 | シャフト | 重量70g台 |
トルク | 6前後 | トルク | 5前後 | トルク | 4前後 | トルク | 3前後 |
ロフト | 12度以上 | ロフト | 11.5度~10度 | ロフト | 10度~9度 | ロフト | 9度~8.5度 |
ドライバーヘッド重量の選び方
ドライバーヘッドは、シャフトのように多様な重さがなく、基本的にほぼ統一された重量になっているため、選択肢はありません。
ドライバーヘッドは重ければ重いほどボールにエネルギーを伝えやすくなるため、飛距離は出ます。
しかし、重すぎるとスイングスピードが上がらずヘッドスピードが減速してしまいます。
この相反する条件を最も効率よく解決する重量がおおよそ200g程度で、これは老若男女を問わず、ほぼ一緒になっています。
一般的にドライバーヘッドの重量は188g~200gで設計されていますが、196g前後が最も多いとされています。
鋳造過程で2~3g誤差は出ますが、トッププロでない限り、気にする必要はないでしょう。