ゴルフのマネジメント
ゴルフとビジネスの類似性
ゴルフはビジネスに似ていると言われます。
プレーでは、絶えず「距離はどれぐらいか」「どこに打つべきか」「どのクラブで打つべきか」など、適切な判断が求められます。
そして、結果はその場ですぐに判明するので、ビジネスよりわかりやすく明快です。
これがビジネスマンからゴルフが支持される理由のひとつでしょう。
ハンデや経験によってマネジメントは異なります。
80台のゴルファーと100切りを目指すゴルファーではマネジメントに違いが出ます。
それでもマネジメントは重要で、考え方次第でスコアを縮められるのです。
ゴルフは決断のスポーツ
ゴルフは「決断のスポーツ」と言われます。
自身の決断の良し悪しでスコアが決まるのです。
コースにおいて、自分の置かれている状況判断は自分自身でしなければいけません。
また、スロープレーは厳禁なので、即断即決が必要となります。
これも仕事に役立つゴルフの効用のひとつでしょう。
いい球は打てても、いい加減な判断ばかりではいつまでたってもスコアになりません。
ショットやパットの練習と同時に、判断の練習も必要になるのです。
コースの状況をマネジメント
危険な場所を知る
ティーグランドに立った際、「フェアウェイの状況」「OBの位置」「見えない場合の危険性」「バンカーの位置」「池など障害物」「ピンの位置」「グリーンのアンジュレーション」「グリーン周りの罠」など、まずはコースの状況を見極めます。
キャディさんがいれば、攻略ルートを聞いてください。
ボールの落とし所を決める
コースの状況を見極めたら、次はボールの落とし所を決めます。
200ヤード付近にバンカーがある場合は、最低でも230ヤードは飛ばさないと越えないので「安全にバンカー手前で止めておこう」という判断を要するかもしれません。
「右にOBがあるので左フェアウェイの安全な方を狙おう」「どうしても越えそうにない池があるのでその手前で止めておこう」「ボールを落とす場所は平らな所にしよう」など、コースの状況に自分の力量を勘案し、総合的に判断してボールの落とし所を決めます。
プロやトップアマになると、さらにその次のショットから逆算し、「自分の得意クラブの距離を残したところに落とす」など、次打以降をやさしくするために、落とし所を決めています。
落とし所は、ドラィバーならある程度の余裕のある「エリア(10〜20ヤードの円)」を想定します。
アイアンの場合は、もっとシビアに落とし所は「点」です。
このくらいの精度を求めましょう。
テイーショットのマネジメント
クラブを選択する
テイーインググラウンドで落とし所を決めたら、次に距離と風の状況などにより、ドライバーを持つか、スプーンでいくか、アイアンにするか、打つクラブを決めます。
ミドルホールやロングホールでアイアンを使う人は少ないと思いますが、ハザードが気になったり、どうしても曲げたくない場合などは、勇気を持ってアイアンを握る決断も必要でしょう。
ただ、なるべく2打目以降の距離を残したくないので、あまり受け身にならず、積極的に攻める方がベターです。
試合でもない限りは、ドライバーで打つ所ではドライバーを使った方がいいでしょう。
打つべき所でそれなりのクラブを使わないような人は、いつまでたっても上手くなれないでしょう。
ときにはOBを打ってしまうかもしれませんが、そうやって上達していくのです。
「構え」に入る
打つクラブが決まったら「構え」に入ります。
まず、自分のティーアップしたボールと落とし所を結んでボールの飛球線をイメージします。
このイメージはとても重要です。
イメージが身体を動かすので、いいショットをしたければ、必ずイメージをしてください。
この時はボールの後ろから、ティーアップしたボールと飛ぶ途中、そしてボールの落とし所を結んだ三次元をイメージをします。
「自分はこのように打つのだ」と自分に言い聞かせるのです。
構えに入ったら体が決めた落とし所に向いているかをチェックしてください。
リラックスして振り抜く
「構え」たら、落とし所とスタンスの方向を確認し、出球を頭の中にイメージして、スイングです。
構えてからはこれだけで十分で、スイングのチェックポイントなどを反すうする必要はありません。
構えたらイメージどおりにボールが飛ぶと信じて振り抜くだけです。
ゴルフは「考えるスボーツ」と言われますが、これは打つ前の判断や決断の話であり、構えたらいつもと同じように思い切りよく、自然体で振り抜くのです。
2打目のマネジメント
ボールの状況をチェック
ゴルフは「ボールがあるがままの状態」で打つのが基本ルールなので、まずはボールがどのような状態で止まっているかを早急に確認しましょう。
「ライのいい所に止まっているか」「ディボット跡に入っていないか」「斜面の状態」「ラフの深さ」などをチェックし、次のショットに向けた情報収集を行います。
打つ方向をチェック
ボールとピンを結んで、その線上に「バンカーや池がないか」「グリーン周りの状況はどうなっているか」など、ボールとこれから打つ方向の状況をチェックします。
特にグリーンの傾斜は重要です。
なるべく上りのラインが残るよう、できるだけ手前から攻めましょう。
このマネジメントの有無により、パット数が大きく違ってくるはずです。
距離をチェック
次に、ボールからピンまでの距離を計算します。
コースでは、グリーンまでの距離の目印として100ヤード、150ヤードの所に目印(樹木や杭)を設けているので、これを活用します。
また、最近ではカートにGSP内蔵のコース案内ディスプレイが搭載されているケースも増えました。
携帯用の距離測定器も売っているので、最新技術を活用する手もあります。
この距離の計算を間違うと、いくら良いショットをしても何にもなりません。
ゴルフは「自分との闘い」なので、自分で距離をつかむ癖を付けましょう。
感覚で距離感が掴めるようになれば、相当な上級者です。
クラブを決定
「ライ」「打つ方向」「残り距離」の3つを総合的に判断し、どのクラブで打つかを決めます。
クラブを選ぶ時は「風の状況」によっても打つクラブの番手が違ってくるので注意が必要です。
仕事においても、個々の事象を見極め、それらを総合的に勘案し最終判断を下しますが、ショットもこれと同じです。
「ゴルフが仕事に役に立つ」と言われるのは、的確な状況判断と瞬時の決断力が共通しているからでしょう。
アプローチのマネジメント
クラブと打ち方を決める
惜しくもグリーンに乗らず、アプローチを残す時があります。
残りの距離により、転がし、ピッチエンドラン、ロブショットなどの選択になりますが、もしパ夕ーが使えるのであれば、パターを最優先の選択肢にします。
やはり、転がしが最も簡単に距離感が出せるからです。
しかし、わざわざ難しいショットを選ぶ人がいます。
グリーン周りではシンプルに打つべきです。
上げるアプローチはミスが多くなります。
できるだけ単純にいきましよう。
落とし所を決める
アプローチはボールの「落とし所」が肝心です。
落とし所さえ明確であれば、大きな失敗は減るはずです。
どんな打ち方をするにしても、最初にボールを落とす「点」を決め、その一点を狙って、落としていくことがアブローチ上達の秘訣です。
そのためには、振り幅と距離の関係やピッチとランの割合などを知っておく必要があります。
これには、まず経験です。
やはり、アブローチは実戦で経験し、それが頭の中でしっかりイメージでき、同じような場面で再現できること。
アブローチは経験なので、コースにたくさん出ている人がうまいのは当たり前なのです。
パットのマネジメント
パットは頭の勝負
グリーン上では、頭を使います。
まずグリーンに上がる前に、「傾斜はどうか」「うねってないか」など、グリーン全体的について見ておきます。
もちろん、グリーンに上がってからも足の裏を使って確認しますが、全体を俯瞰するならグリーンの外から見た方がいいでしょう。
傾斜と芝目
次にグリーン上の自分のボールの位置が、グリーン全体の中でどのような状況にあるのかを見極めます。
ボールからカップに向かっての傾斜とラインです。
「上りなのか下りなのか」「斜めなのか」「途中にマウンドはないか」「目はどちらに向かっているか」などをチェックします。
傾斜の具合は、ボールの手前からと反対側、そして横からも見ます。
芝目は、光って見えたり、緑が濃く見えたりで判断しますが、アマチュアは目まで読むのは難しいので、ここはキャディーさんを頼りましょう。
力ップインをイメージ
全体的なグリーンの状況を見て、「ボールが転がりカップに入るライン」をイメージします。
そして、どれぐらいの強さで打ったらカップに届くのかを頭に叩き込みます。
上りなら強めに、下りならダラダラと流し込むようにイメージするといいでしょう。
グリーン上の読みは、イメージと頭の問題です。
ここで経験と頭の良し悪しの差が出てくるのです。
「入る」と自信を持つ
後はその読みに従い、イメージ通り、肩と手を動かします。
カップに到達するよう、ちょっと強めの感覚で打たなければいけません。
カップまで転がらないと、いくらオンラインでも絶対に入りません。
ここは自分を信じられるかです。
つまり「自信」です。
パットは自信を持って打ちましょう。
このようにグリーン上だけでもいろいろな判断が求められ、それを瞬時に決断し実行します。
そして、自分の判断の結果はすぐ出ます。
だから、ゴルフはビジネスに近く、面白いのです。
ゴルフはメモを取ってマネジメント
仕事ができる人は「よくメモを取る」を言われますが、これはゴルフにも共通しているかもしれません。
上達の早い人には、メモ魔が多いのです。
練習場で気付いたこと、ラウンドの反省点など、とにかくメモを取る。
もっと徹底している人は日記をつけています。
今は、スマホアプリなどを使って、ラウンドのスコアなどを管理している人もいます。
後日、この内容を振り返って、良かった点と悪かった点を反省するのです。
これを繰り返せば、マネジメントが「見える化」します。
「現状を認識し、目的を持って弱いところを補強する」。
これが上達の秘訣です。
仕事もゴルフも同じです。