ゴルフと風の影響
ゴルフは自然の中で行うスボーツなので、どうしても天候の影響を受けてしまいます。
楽しいはずのゴルフですが、真夏の炎天下や真冬の氷点下でのプレーは勘弁してほしいですし、雨や風の中でのプレーは気の進まない方が多いのではないかと思います。
とはいえ、ゴルフはメンタル要素の強いスポーツなので「嫌だな」と思った瞬間から、もう負けているとも言えます。
大切なお客さんとの接待ゴルフなど、雨風の中でプレーしなければいけないときもあるので、どんな天候でも対応できるようプレーの幅を持っておきましょう。
晴天の無風状態でラウンドできることは、むしろ少ないかもしれません。
それなら、風を含む自然と仲良くなるくらいの気持ちで臨むことがおすすめ。
ゴルフは風と友達になるスポーツなのです。
強風でゴルフが中止になる基準
競技ゴルフの場合、天候による競技中断や中止に明確な基準はあるのでしょうか?
風速2m? 風速3m? 風速5m? 風速8m? 風速10m?
実は答えがありません。
競技の基本は、すべての競技者がなるべく同じ状況でプレーすることです。
もちろん、自然を相手にするスポーツなので、すべてを同条件にはできませんが、できるだけ差が出ない状態にすることが主催者側の義務になります。
とはいえ、主催者に風のコントロールはできないので、多少の差は許容せざるを得ませんが、基本的にはフェアな競技進行が不可能と判断された段階で中断することになります。
そして、状況が回復しなければ、最終的に中止のジャッジをします。
具体的には、グリーン上のボールが風のせいで勝手に転がる状況は中断になるレベルでしょう。
また、ティアップしたボールがティから自然と落ちてしまう状況も中断やむなしの判断になると思われます。
風で飛距離は変化する
風はコントロールできない
ゴルフで最も嫌な天候は「雨」と「風」でしょう。
雨の場合は飛距離が全体的に落ちます。
これは雨により地面が軟らかくなって、ボールが落ちてもランが出ないこと。
また、飛んでいる時でも上からの雨粒によって回転も落ち、さらに雨粒が抵抗となり、球が下へ叩きつけられるからです。
風の場合はボールが流され左右に曲がったり、向かい風で吹き戻されることもあります。
雨なら飛距離が落ちるだけですが、風は前後左右すべてに影響を与えるので、コントロールが難しいのです。
風の強さは、平均風速、瞬間最大風速などの数値で表記されますが、 当然一定に吹くものではなく、ある時は強く、またある時は弱くと、刻々と状況を変化させます。
それだけにゴルファーにとっては厄介なのです。
風の影響を判断する
ゴルフボールは回転して飛んでいるので、風に大きな影響を受けます。
風の中で打つ時は、風の強さと風向きを確認し「どれぐらいの影響を受けるか」を瞬時に判断しなければいけません。
よくプロやキャディがフェアウエーの芝をむしって上に投げるのを見たことがあると思います。
これにより、風の方向と強さを判断しているのです。
この方法はアマチュアにも有効です。
ショットの前は、なるべく風向きと強さを確認する習慣を付けてください。
ゴルフコースで風を判断する
風の方向
風の判断はまず、方向を確認します。
「アゲンスト(向かい風)かフォロー(追い風)か」「左右どちらの方向か」を立体的にチェックします。
投げ上げた枯れ芝が「後ろに向かって流れるか」「前に流れるか」「横か」などを正確に判断してください。
一般的にはアゲンストの風が嫌がられますが、実は飛びすぎて制御ができなくなるフォローの風の方が厄介な存在です。
風の強さ
さらに、風の強さの判断も欠かせません。
投げ上げた枯れ芝が、真下に落ちれば風がほとんどないと判断でき、50センチの範囲内に落ちるようなら微風で、これもほとんど影響はないと判断します。
しかし、芝がすぐに飛んでいったり、周囲の木が軽く揺れていたら、要注意です。
この場合は、ワンクラブ違うクラブで打つ方がベターです。
また、投げ上げた芝が地面と平行に持って行かれたり、木が大きく揺れるような強風なら、2クラブ以上異なるクラブを選択する勇気が必要になります。
特にボールに勢い(回転数が減る)がなくなる落ち際のボールは風に持って行かれることが多くなるので、落とし所周辺の風の状況もチェックしなければいけません。
風の下をくぐらせる
向かい風が強く、どんなクラブでも飛距離ロスしてしまうケースがあります。
こんな時は、できるだけ低い球を打って転がす選択をしましょう。
この低い弾道のショットを「パンチ・ショット」とか「ノックダウン・ショット」と言います。
ノックダウン・ショットは低い弾道に加え、ボールが吹き上がらないようにバックスピン量を少なくできる特性があります。
向かい風の場合、力んで打つとバックスピン量が多くなるので、むしろ風の影響を受けやすくなります。
また、低いボールにしようとボールを右足寄りに置き過ぎてもバックスピン量が増えてしまいます。
ノックダウン・ショットは ボールをスタンスの中央に置いて、腰のターンや右から左への体重移動などの下半身の動きを抑えて、スリー・クォーター気味に打ちます。
もちろん、スピン量を減らしたので、力まずに打つのがコツです。
繰り返しますが、ポイントは、できるだけボールに回転をかけないことです。
回転が強くなると、風の力で益々回転が増し、どんどん大きく曲がります。
回転をかけないためには、打つ瞬間に力を入れないことです。
打ち込むのではなく、払うように打つとスピン量は減るので、できるだけスイープに打つように心掛けましょう。
さらに、上級者向けのテクニックとして、横風に対して、風とボールの軌道が喧嘩をするように打つテクニックもあります。
つまり、左からの風に対してはドロー、右からの風に対してはフェードを打ち分けるのです。
これにより、横風の影響が少なくなるので、コントロールしやすくなります。
上空の風も確認
もうひとつ重要なのは、打つ場所だけでなく、飛んでいる途中の方が風の影響を多く受けることです。
木に覆われている林間コースや海のそばのコースでは、打つところは無風でも上空は強風になっている場合があります。
また、風が巻いていることもあり、どちらから吹いているのか分からない時もあります。
このようなケースも、やはり「低い球」が有効です。
風対策には、低い球が効果的です。
風の読み方
打つ場所の風
コースで風が吹いていたら、打つ場所、狙い所、飛ぶ途中の3点の確認が大切です。
打つ場所で強風が吹く瞬間はショットをやめましょう。
実際に打つ場合は、できるだけ風が少ない時を選んで打ちます。
構えている際の強風は集中力を阻害するので、突風が吹いた場合は、一度スタンスを外してください。
狙い所の風
次はボールが落ちる場所の確認です。
狙い所がフェアウエーなら、その近くの樹木を見て、周囲の風を確認をします。
また、グリーンを狙う時は、ピンフラッグが揺れているかどうか、その揺れ方はどれぐらいか、どちらに向かって旗がなびいているか、そして、ピンは真っ直ぐ立っているか、風でしなっていないかなどを確認します。
グリーン上のピンを見て、瞬時にこれぐらいの判断をしなくてはいけません。
飛球中の風
打つ場所と狙った所との間の風も確認します。
これは大変難しいのですが、どこのコースでも樹木が植えられているので、その樹木のなびき具合を見ます。
木がよじれるほど吹いていれば強風、枝が少し動いているぐらいなら微風と思えばいいでしよう。
また、大きな樹木が密集して、塀の中にいるような林間コースで高い球を打とうとする場合は、上空の風に持って行かれることもあるので要注意です。
特にグリーン周りは、バンカーや池などの危険な罠が仕掛けてあるので、風の読みは慎重に行わなければいけません。
総合判断
このように風の中で打つ時は、ボールの関する3地点の風を丁寧に観察します。
それらを総合的に判断し、打つクラブを決めます。
また、風は気まぐれなので、吹いたり止んだりします。
打った瞬間に突風が吹き、ボールがOBゾーンに運ばれるような不運もあるでしょう。
風は気ままなもので、完全には読みきれません。
ある程度のチェックをしたら、あとは「風まかせ」で打つくらいの大きな気持が必要かもしれません。