ゴルフスイングで難しいのは始動
静から動に移行していく動き。
スポーツではこれが一番難しいと言われていますが、最も顕著なのがゴルフでしょう。
だからこそ、始動が大切だとプロも口を揃えます。
静止した状態から突然テークバックをスタートさせるのは、なかなか難しいので、一定の始動のきっかけを作った方がリズムがとりやすいのです。
では、どこからスイングを始めるのがいいのでしょうか。
それは人によって異なりますが、始動とは張りやリズムを作る動きです。
どこかを動かすことで体に張りがある場所ができてきます。
そこから作用と反作用が起き、支点や軸ができてリズムが良くなります。
そして、淀みなく振れるようになるのです。
始動にルールはない
すべてが一緒に動き出すスイングは乱れや緩みにつながってしまうので避けたいところ。
やはり、始動するポイントを作りたいですが、どこから始動しなければいけないとの決まりはありません。
上級者は、その時々の調子や修正点も考えて始動しています。
右足で始動
右側重視で上げる人は間やタイミングを大事にします。
トップのタメをしっかり作って振り遅れ感を使って飛ばす人や飛ばし屋に多いスイングタイプです。
左足で始動
左側重視で上げる人はコンパクトなトップでミート率を上げてフォローで方向性を出していくコントロール重視の人に多いスイングと言えるでしょう。
また、ドライバーは右重視でアイアンは左重視で始動する人もいます。
クラブで始動
クラブから上げる人は道具に仕事をして欲しいと考えている人です。
一方、体の部位から上げる人は軸をしっかり意識していると言えるでしょう。
要はバランスが取れ、気持ちよく振るためになにをするか。
そのための始動箇所を探すことが大切になるのです。
始動の最適な時間
スイングを始めたいけど、そのキッカケがなく、スタートさせるまでに時間がかかる人がいます。
昔のセルヒオ・ガルシアがそうでしたし、松山英樹選手もその傾向があるようです。
但し、プロは一定のルーティーンができているので、あまり問題ありません。
パターなどにも共通しますが、構えてから実際に始動するまでの時間は、なるべく一定である方が望ましいのです。
毎回同じタイミングでスイングやストロークができれば、それだけミスが減ります。
また、構えてから打つまでの時間が長くなるとイメージが薄れてしまいます。
いくつもあるチェックポイントが頭の中をよぎり、余計なことを考え出してしまうため、筋肉が硬直してきます。
素振りのイメージをそのまま実際のショットに生かすには7秒以内に打つといいと言われています。
ナイスショットのいいイメージを思い浮かべ、リラックスしたまま始動することがベストショットを生むのです。
始動はゆっくり
よく「ゆっくり始動する」と言われますが、これがなかなか難しい。
スイングには人それぞれのリズムがあり、これを簡単に変えることはできないのです。
ゆっくり始動できるゴルファーは、長年をかけて技術を会得したので、一朝一夕で真似できるものではありません。
ゆっくり始動できても、今度はスイング全体のタイミングが合わなくなります。
そこで重要なのが、ダウンスイングのスピードなのです。
始動をゆっくりしても、切り返しからダウンスイングが早ければ、これがミスショットの原因になります。
始動の早さだけではなく、スイング全体のスピードを管理してこそ、ナイスショットが生まれるのです。
始動のきっかけ
始動はフォワードプレス
トッププロの始動にも、いろいろな種類があります。
フォワードプレスをきっかけにするプロも多いかもしれませんが、あごをズラすこと(チンバック)で始動したジャック・ニクラウスやクラブヘッドを浮かすことで始動したタイガー・ウッズなども有名です。
始動にルールはありませんが、考えられる主な部位は「腰」「肩」「手首」「頭」「足」などで、少し変わったところでは「へそ」などもあります。
始動は肩からがおすすめ
中でも比較的一般的なのは「肩」でしょうか。
肩で始動するメリットは、比較的大きな筋肉を使うため、スムーズに始動でき、毎回同じ動きをしやすく、再現性が高いこと。
そして、飛距離を出すのに重要な捻転を作りやすいことです。
肩からスイングを始動させると、アドレスでできた両腕と肩のラインでできる三角形を崩さずに維持できます。
手が右太ももの前にくるまでは、この三角形の形が変わらないようにするとスイングが安定します。
手が右太ももの前に来たら、右肘を曲げ、少しずつコックを入れながら、トップに移行します。
このように腰を止めておき、肩の回転だけでスタートさせると、背中の左側が伸ばされ、ハリが感じられるようになるので、意識的に捻転しやすくなるでしょう。
腰は肩の回転につられて回すのです。
そうすれば、上半身と下半身の捻転差が作られ、飛ばすためのパワーが蓄積されます。
これで飛距離が出てスライスしないドライバーショットに近づくのです。