吹け上がりで飛距離ロス
ヘッドスピードとスピン量
アメリカツアーで戦うトッププロのへッドスピードは、50~54メートル毎秒程度です。
これなら300ヤード以上は飛ぶでしょう。
しかし、飛ぶが故の問題も出てきます。
ヘッドスピードが速いために、スピン量が増加してしまうのです。
スピン量が増えれば、球は吹け上がり、飛距離をロスします。
そのため、ムダなスピンをなくし、吹け上がりを抑えてくれるクラブとシャフトを求めるのです。
多くは、ロフト8.5度前後で中弾道の出るヘッドとシャフトを使います。
そのスペックのドライバーを使う理由は「飛びの3要素」を最大限考慮しているからに他なりません。
飛ばしの3要素とは
3要素とは「ボール初速」「打ち出し角」「スピン量」のことです。
この3要素を重視する必要性は、アマチュアゴルファーもまったく同じです。
しかし、プロとアマでは、ヘッドスピードやボール初速が違うので、最適なスピン量と打ち出し角度も異なってきます。
ただ、この3要素の組み合わせが最適化されれば、吹け上がりが抑制され、ムダなく、そのヘッドスピードにおける最大限の飛距離が実現できるとの理屈は同じなのです。
ヘッドスピードが速ければ、それだけインパクトでボールに大きな力を与えられます。
しかし、それがバックスピンを生んでしまう。
バックスピンの量がボールスピードに対して多ければ、打球には浮力が大きくなるため、球は吹け上がり、理想的な放物線では飛んでいかなくなります。
せっかくのボール初速が活かされず、距離を損してしまうのです。
そこで、自分のスイングにとって、最適な打ち出し角度とスピン量になるようなロフト角、重心設定、シャフトなどを探す必要が出てくるわけです。
平均的なアマチュアゴルファーのヘッドスピードは約40m/sですが、これにも最適なバックスピン量と打ち出し角があります。
まずは、それを弾道測定のできるショップで計測してみるといいでしょう。
現在の値と理想的な数値の差異を科学的な目で明らかにしてくれるはずです。
そして、最も効率よく飛ばせる、最適なスペックを見つけ出します。
スピン量と飛距離
飛んでいるボールは常に影響を受ける「重力」のほかに、「揚力」「抗力」「回転抗力」が働いています。
揚力
揚力は球を浮かす力のことで、これを適度化できれば飛距離を伸ばせます。
もちろん、浮く力を強くしすぎれば、球は吹け上がってしまい距離は出なくなるので、適度な揚力を生むスピン量をキープすることが大切になります。
この揚力を生むのがバックスピンです。
バックスピンしながら進むと、ボール上下の空気のボールに対する速度が変わります。
ボールの上は「ボールスピード+回転のスピード」であり、ボールの下は「ボールスピードー回転のスピード」。
つまり、ボールの上の空気の流れが速くなるのです。
流れる速度が速いと、圧力はその速度の2乗に比例して下がるため、ボール上側の圧力が下がって、ボールを上に持ち上げる。
これをベルヌーイの定理といいます。
抗力
抗力とは、いわゆる空気抵抗で、飛距離を落とそうとする力になります。
これは小さくするほうが飛距離アップには役に立ちます。
空気の中をボールが進みますが、空気を切り裂いて進むと、ボールのうしろ側に空気の渦ができ、空気の密度が低くなります。
物体は気圧の低いほうへ引っぱられるため、進行方向に対しての抵抗を受けることになります。
ボールの表面にディンプルがあるのは、くぼみによってボールのうしろ側の圧力の低い空間が小さくなるため、抗力を小さくしてくれるのです。
回転抗力
回転抗力は、ボールの回転に対する摩擦であり、スピンを減らそうとはたらきます。
この力もディンブルによって軽減されています。


スピン量で飛距離を伸ばす
思いっきり早く振ったからといって、飛距離が伸びるわけではありません。
本当に飛ばしたいのであれば、「ボール初速」「打ち出し角」「スピン量」を最適化する必要があります。
特にスピン量のコントロールが重要です。
バックスピン量が多すぎれば、飛距離は落ちますし、サイドスピン量が多くなってしまえば、曲がり幅が増えるので、結果的に飛距離をロスしてしまうのです。
自分の数値に適したドライバーを選ぶことが、飛距離獲得の必須条件なのです。