ゴルフクラブのスイートスポット
ドライバーの芯
クラブへッドの形状や重量などによって、そのクラブの重心位置は異なるので、スイートスポットがどこにあるかは一概に言えません。
売れ筋のやさしく打てるドライバーはヘッドが大型化しているため、いずれもスイートスポットは、クラブフェースの中央よりややシャフ卜に近いヒール側に位置します。
正面から見たフェース面を4等分して、ネックの上側から時計回りに第1象限、第2象限、第3象限、第4象限と数えた場合、ボールが当たったときの振動が最も少なく、エネルギー効率が最大になり、最も飛ぶところは、中心から第4象限に入ったわずかにトウの上側にずれたところにあると考えてください。
よくゴルフ雑誌などでは、芯よりも飛ぶので「激芯」などと表現していますが、ここでボールをとらえたときが、最も抵抗感がなく、最大飛距離が出ます。
とはいえ、大型ヘッドでは、スイートスポットは1ヶ所の点ではなく、ある程度の面積を持ったスイートエリアと呼ぶほうが正確でしよう。
また、忘れがちですが、ティーアップの高さが適切でなければ、芯には当たりません。
ティーが高すぎれば、下からのあおり打ちになり、ティーが低すぎればダウンブローに入りがちになります。
スイング中の体とボールの距離が変わらないように注意しましょう。
アイアンの芯
芝の上のボールを打つアイアンは、ティーアップするドライバーと事情が異なります。
アイアンフェースの4分割面で見ても、スイートスポットの位置は第4象限、中心からややトウ側の上に位置していますが、クラブがボールより先に地面に当たった場合、たとえ同じポイントでボールをとらえるとしても、へッドが戻ってきていない状態でボールとフェースが衝突することになり、本来の当たりは望めません。
また、フェースの高い位置でとらえるほど、芯から外れるので、ボールのキャリーは落ちます。
プロや上級者がよく口にする「嚙んだ」との表現は、これに相当します。
これを避けるための理想のヒットポイントは、それより下の中心寄りになります。
いわゆる「スコアラインの2本目」くらいがベストポイントです。
また、第3象限にある中心近くでとらえられれば、ボールにはドロー回転がかかります。
そして、第2象限だとフェード回転になります。
一般に「アイアンショットが上手い」とされるショットメーカーは、中心線より内側やや下のスイートエリアでボールを叩き、ストレートに近いフェード系の球でピンを攻めていると思って間違いありません。
このポイントでボールをとらえた方がコントロール性が高く、ミスの確率も抑えられるからです。
フェースの向き
ナイスショットは、フェース面がボールとスクエアに当たった場合に限られます。
少しでも開いて当たったり、インパクトでフェースがかぶったときには、事情は一変します。
いわゆる「芯で打つ」との表現の中にも、さまざまなケースが考えられるわけです。
より遠くへ、より正確に飛ばすため、スクエアの角度で芯でボールをとらえることが最重要課題になります。
ウエッジのスイートスポット
微妙なタッチが要求されるアプローチでは、芯の考え方も違ってきます。
すべてのショットを芯に当て、スピンの効いた球にする必要はありません。
むしろ、芯を外しボールをコントロールする場面の方が多いかもしれません。
例えば、深いラフから、ある程度の距離も必要なアプローチのケースでは、ヘッドのトウでソールするくらいのつもりでアドレスして、フェースの第3象限下側に当てることで、ボールを脱出させるテクニックが有効になります。
この状況でボールを芯でとらえようとしても、深いラフがフェースに絡まって、ボールのコントロールが難しくなり、芯に拘りすぎるとかえってミスショットになる場合があります。
球の勢いを殺したり、敢えてスピンをかけないなど、アプローチでは多彩なショットが求められます。
絶対、スイートスポットに当てる必要はないのです。
要はピンに寄ればいいのです。
パターの芯
パットにおいても、上級者ほど芯を外して打うクニックを駆使しています。
絶対にショートできない場面で、わざとへッドのトウ側で打つプレーヤーが多いのは、へッドの外側で打つことによって遠心力が作用してボールの球足が通常より伸びるからです。
このケースで、ヒール寄りで打つ上級者はいません。
パターの芯で打てない原因
プロや上級者は、あえて芯を外すような打ち方をしますが、多くのアマチュアゴルファーは、そもそもパターの芯で打てません。
主な原因は「不安定な下半身」と「目線」です。
特に多いのは、下半身の弱さから足がふらついてしまい、グラグラして打点がばらつく打ち方になっているパターンです。
松山英樹プロのパッティングをイメージしてみてください。
ドッシリとして安定感があります。
パターに関しては、土台である下半身がなにより重要です。
少しスタンスを広めにとり、ドッシリした構えが理想です。
この安定感があれば、正しい目線も確保できます。
目線のミスは、ショートパットの時に起こりやすく、どうしても目線がカップに向いてしまう、いわゆるヘッドアップ(ルックアップ)です。
目線をボールから切って、カップを見てしまうことで打点がズレてしまい、結果として芯に当たらなくなるのです。
カップが視界に入るショートパットでは、絶対に目線を動かさず、ボールを打った後も、ボールのあった位置を見続けること。
決して、頭を動かさないようにしてください。
安定した下半身に動かない視線があれば、身体がブレずに、打点が安定します。
するとストロークもスムーズになり、しっかりと芯で打てるようになります。
プロでも芯に当たらない
トッププロでも1ラウンドのうち、芯に当たる納得のいくショットは30〜40パーセント程度だと言います。
芯を食うショットが半分以下でも、それなりのスコアは出るものです。
ゴルフは完璧を求めるスポーツではなく、最悪の事態だけは絶対に避ける危機回避のスポーツです。
つまり、ある程度のミスは許容範囲なのです。
そう考えると「芯で打つ」「芯を喰う」「ナイスショットを連発したい」との願望は、ゴルファーの自己満足にすぎないとわかるでしょう。
特に最近のクラブの進化は素晴らしいので、スイートスボッ卜を外しても、振り切ってさえいれば、ある程度は飛んでくれますし、方向性も悪くなりません。
結果として、ナイスショットと比べても、遜色ないショットになるのです。
「大体、あのあたりに行けばいいや」と思っていればいいのです。
必ず芯でとらえなければいけないとの固定観念に囚われ、力みすぎたり、納得のショットが打てないとストレスを溜めて、スイングを乱すほうが問題かもしれません。
芯を食わない理由と練習方法
プロでも芯を食わないものの、やっぱりある程度はナイスショットがしたいですよね。
では、スイートスポットに当たるスイングの条件を考えてみましょう。
ゴルフは再現性のスポーツとも言われるので、アドレス時とインパクト時のフェイスが同じ位置に戻っていることが必須です。
これが再現性の意味です。
これは腕や脚の位置が同じなのではなく、あくまでクラブフェイスが同じ向きや位置であるとの意味です。
グリップエンドの位置を確認する
クラブヘッドの再現性を求めるときに確認すべきは「グリップエンド」です。
インパクト時に自分のへその延長線上にグリップエンドがきていれば、フェイスは適正な方向と位置にあるはずです。
グリップエンドがへそから外れないよう、手と体を同調させるのです。
但し、スイング中にクラブの向きを正確に確認するのは難しいので、簡易的にグリップエンドの穴にロングティを挿してみてください。
フェース面がどこを向いているかがわかりやすく、短い時間の練習でも再現性のレベルが確認できるはずです。
最近は、スイング計測機器も売られているので、センサーを使ってスイング分析をしてもいいでしょう。